【おしらせ】07/07 特集「妖夢ちゃんのブチギレお祖父様集」更新!

2018-06-06

2018/6/06
五年目108

「せっちゃん違うのよ。怒らないで」
「何が違うの」
「今日これが一個目なの。一日一個の約束でしょ?」
「空の包が見えるけど。二つほど」
「……え、えーと。これはその。ね? これは違うわよね? ね?」
「……今泉さんはコロッケもう二つ食べてます」
「あおうん!」

 今泉さんがこちらを見てきて下手くそなウインクをしてきましたが
 せっちゃんさんが物凄い形相だったので私は正直に言いました。
 私は悪くありません。

 本日のおやつ
 ・クリームコロッケ

 お肉屋さんで今泉さんと買い食いをしていたら
 せっちゃんさんが突然やってきた、そんな構図です。

「何で約束破るの」
「だって美味しそうで……」
「またそれで私からお金借りるんでしょ」

 今泉さんはそれで制限されてたわけです。
 確かにお金の貸し借りは友情を壊すのでいけません。

「……でもせっちゃん、これは信じて」
「なに」
「これはせっちゃん用よ。ね?」
「あ、それは本当です。二つ目を食べながらそういう話をしていました」
「……」
「これ、クリームコロッケ、揚げたてだから……」
「はあ、ありがと」

 せっちゃんさんはため息をつきながらクリームコロッケを受け取っていました。
 影狼さんはしょぼんとしています。
 きっと帽子の下の耳は垂れているでしょう。

「それじゃ」
「あ、はい。また」
「またね」

 二人は帰っていきました。
 せっちゃんさんはもう怒ってなさそうでした。
 良かったです。
 今泉さん、本当にコロッケ二つの前に王様唐揚げ二つ食べていましたがそれは黙っていることにします。
 墓場までの内緒の話です。